八代 正彦(第38期)

近 況 報 告

鹿児島大学医歯学総合研究科 
法医学分野      
八代 正彦(第38期)

 

 同窓会の皆様、こんにちは。38期の八代正彦と申します。この度は、同窓会誌への寄稿依頼をいただきありがとうございました。拙い文章ではありますが、近況についてご報告させていただきます。
 私は、平成25年に鹿児島県立鶴丸高等学校を卒業後、島根大学医学部に進学し、平成最後の年である31年3月に卒業しました。大学卒業後は故郷に戻り、鹿児島大学病院で2年間の初期臨床研修を行った後、鹿児島大学医歯学総合研究科法医学分野に入局し、現在1年目です。入局と同時に鹿児島大学大学院にも進学しており、博士課程の1年生でもあります。職場では、林敬人教授をはじめとする7人のスタッフに囲まれ、充実した日々を過ごしています。
 現在は、毎日のようにご遺体の解剖もしくは検死を行っています。ここに運ばれて来られるご遺体は、様々な亡くなり方をした「患者様」です。その方々にとって、死因を究明することは、その方の人生の最期の声なき願いであり、守るべき尊厳であると考えています。一人一人に真摯に向き合いながら、患者様に敬意を払い勉強させていただいている毎日です。
 しかし法医学分野は、亡くなった方のみを対象としているわけではありません。虐待を受けた子どもの傷を評価するために、児童相談所に診察に赴くこともあります。虐待を受けているお子さんの中には、おびえていてあまり話をしてくれなかったり、傷を見せてくれなかったりする子どももいますが、小さな傷でも一つずつ正確に記録し、成傷器や成傷時期について評価します。
 また、COVID-19の感染が疑われるご遺体のPCR検査のために、警察署に駆け付けることもあります。防護服を着て検体を採取し、検査結果が判明した後に検死を行います。さらに、私は大学院生でもありますので、日々の法医学実務に加えて研究も行っています。PCRや免疫染色、動物実験など、研修医時代には行う機会がなかった実験手技ではありますが、先生方のご指導の下、島根大学で教わったことを思い出しつつ、取り組んでいます。
 私は、高校生の時に、法医学に携わる医師が不足している報道を見て、法医学に興味を持ちました。島根大学在学中には、島根大学法医学講座の竹下治男教授にも研修や将来についてご相談させていただき、解剖の見学もさせていただきました。また、鹿児島大学病院での初期臨床研修中にも法医学での解剖見学をさせていただき、最終的に法医学への入局を決めました。ご教示いただいた先生方には大変感謝申し上げます。
 島根大学では医学知識だけでなく、患者様に対応する際の倫理的配慮など多くのことを学ばせていただきました。島根のすばらしい友人、同期、先輩、後輩、教職員の皆様と共に、すばらしい自然と環境の下で勉学に取り組むことができたことは、私にとって大変幸運で、貴重な経験でした。島根大学の皆様には本当に感謝しております。ありがとうございました。
 島根大学での学びを自信にして、常に謙虚な気持ちを忘れずに、これからも医学の道を歩んでいきたいと思います。未だにコロナ禍で大変な状況ではありますが、同窓会の存在は大変心強く感じております。同窓会の皆様の益々のご発展をお祈り申し上げます。

八代 正彦(第38期)

 

 

 

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