
株式会社mediVR 代表取締役社長
一般社団法人日本臨床研究学会 代表理事
島根大学地域包括ケア教育研究センター 客員教授
原 正彦 (24期)
同窓会の皆様、24期卒業生の皆様、ご無沙汰しております。平成17年卒の原正彦です。時が過ぎるのは早いもので、あっという間に40歳を超えてしまいました。卒業生の多くは今も臨床業務に励んでおられることかと存じますが、私は現在会社経営という少し変わった道を歩んでおります。今回、近況報告ということで、僭越ながら筆を執らせて頂きます。
卒後、初期研修を神戸赤十字病院で、後期研修を大阪労災病院で行いました。この期間は臨床に没頭し、寝ても覚めても診療のことばかり考えておりました。学生時代はとても真面目だったとは言い難いことばかりしておりましたが、臨床では日々学ぶことが多く、大変充実しておりました。この頃は海外への憧れも強く、世界で通用する臨床医になるために研究活動も沢山行い、卒後4年目でAmerican Heart Association(AHA)で口演の機会を得たり、後期研修期間中に英語論文を8編書いたり、兎に角がむしゃらに走り続けていたように思います。
その後は研究スキルを更に伸ばそうと、大阪大学で大学院生として臨床研究のトレーニングを積みました。大阪大学の循環器内科医局は大学だけで100人を超える医師が在籍しており、優秀な先輩、同期、或いは後輩に囲まれ、厳しい競争にさらされておりましたが無事に学位を取得するに至りました。その間、AHAやAmerican College of Cardiologyから若手研究員奨励賞を受賞することも出来ました。この頃は比較的時間にも余裕があり、同期卒業の関西在住メンバーでプチ同窓会を定期的に行ったり、軽音部の先輩と飲みに行ったり、母校の繋がりを沢山感じられる期間でした。結婚もこの大学院時代に行いました。ヨーロッパでの学会参加時に妻を連れていき、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン等海外旅行を一緒に楽しみました。今では遅ればせながら令和元年に娘が誕生し、自称育メンとして子育てに翻弄されております。
また、大学院生の頃より、日本のアカデミア界隈で臨床研究や産学連携が盛り上がり始めていたこともあり、臨床研究学会という社団法人を設立したり、現在の主な仕事となっている株式会社mediVRを設立させて頂く等致しました。mediVRは大阪大学発ベンチャーとして仮想現実(VR)技術を応用したリハビリテーション用医療機器の製造販売をしております。実は同級生の田中智貴先生と一緒に立ち上げた会社です。その治療効果が高く評価され、経済産業省の主催するコンテストで優勝したり、G20で世界中の大臣に機器を体験して頂いたりするとともに、リハビリテーション学会や整形外科学会の年次総会でシンポジストや教育講演の機会を頂く等しております。自身の研究アイデアを製品として直接患者さんに届けられるということは、臨床医にとってはこの上なく嬉しいことだと、日々感謝しながら今の仕事を続けております。母校への貢献としては、2017年から解剖学の大谷浩教授、病態病理学の並河徹教授のご厚意により島根大学地域包括ケア教育研究センター客員准教授、2019年には客員教授を拝命して頂き、学生への講義や、同期入学で現救急医学講座の岩下義明教授と共に講座配属に来た学生に対して教育トレーニングを実施したりさせて頂いております。
私と佐藤真理子先生を中心に企画させて頂き、30人以上が参加表明をして下さった出雲での24期同窓会は、残念ながらコロナ禍の影響で中止となってしまいましたが、24期の同級生や島根大学の卒業生とはここでは書ききれない程沢山の交流があり、本当に島根大学に入学して良かったなと、今でも皆様との出会いに感謝しております。これからも島根大学の先生方、同窓会の皆様のご健勝とご活躍を心からお祈り申し上げ、近況報告とさせて頂きます。