中島 高広(第19期)

近 況 報 告

国立病院機構 兵庫中央病院 消化器外科
中島 高広(第19 期)

 

中島 高広(第19期)

 はじめに、新型コロナウイルス感染症に対して日々治療に尽力なされている島根医科大学・島根大学医学部同窓会の先生方に敬意と感謝を申し上げます。
 第19期(2000年卒)の中島高広です。空前の流行「第5波」が収束しつつある2021年秋に萌雲会より近況報告の依頼を頂きました。実は、同窓会からの依頼は2度目となります。1度目は卒後2年目(26歳時)に依頼を頂いて2002.8号に寄稿しておりますが、今、読み返すと同窓会誌には相応しくない砕けた文面で内容は稚拙。穴があったら入りたい思いであり、お詫び申し上げます。あれから20年が経過し卒後22年目(46歳)となりました。同期のみんなはそれぞれの施設で責任ある立場になられている事と思います。折角の機会ですので少しは医師として成長したのかな、自戒も込めて学生時代の思い出と卒業後の歩みを報告させて頂きます。
   在学中は、やくもわたマンションに下宿。古く汚いアパートで転居への憧れは封印し6年間住み続けました。サッカー部に所属。GW の強化練習など厳しかったが、出会えた皆さんに感謝です。下手でなかなか試合に出られず、初めての公式戦(中四国大会・西医体)は5回生になった時でした。試合に出た時は心底嬉しかった。今も中四国大会の準優勝メダルは飾っている。時折目にしてはどんな思いで使ってくれたのかな。当時のキャプテン北崎健先生(第19期)、頼れる後輩の百留亮治先生(第20期)チームメイトのみんなを思い出します。その他、進級をかけた追試験、稲佐の浜、青空に生える築地松と目を閉じれば懐かし出雲での学生生活が蘇ります。出雲で過ごした6年間の経験が間違いなく社会人となってからの自身の精神的支柱になっています。また、本邦初の生体肝移植を執刀された第二外科の永末直文教授。凛とした立ち居振る舞いと口頭試問での物静かでブレない眼差しが印象的でした。遠く足元にも及びませんが同じ外科医として独り立ちした今、手術へ臨む姿勢や不動心などお聞きしたい事が沢山です。
 卒業後は地元である神戸大学第四内科(老年内科 横野浩一教授)に入局し、神戸大学附属病院でスーパーローテート研修(第四内科、第三内科、放射線科、第一外科)を開始しました。最後に研修を受けた第一外科は激務でしたが、外科のダイナミズムと重症急性膵炎に対する集中治療を目の当たりにして心の奥に潜んでいた熱き思いが呼び起こされました。1 年間のローテート研修後に第一外科(黒田嘉和教授)への転科を申し出ました。2 年目からは関連施設の三田市民病院、市立加西病院、兵庫県立柏原病院に出張し2004年からは神戸大学 消化器外科(講座名変更)の膵臓研究室に在籍し重症急性膵炎の治療および研究に従事させて頂きました。途中、麻酔科への出向期間もありましたが無事に2007年「ラット重症急性膵炎モデルにおける腸管粘膜上皮のアポトー シスに対するVEGF の効果」で医学博士号(乙)を取得させて頂きました。この研究生活期間でresearch mind を持つ臨床医であり続ける大切さを学び、現在でも出来るだけ学術活動を行うように努めています。学位取得後は、西脇市立西脇病院、加古川市民病院、兵庫県立柏原病院を経て2019年4月より大学医局人事で兵庫中央病院に勤務しております。
 ところで兵庫県下の病院には島根医大の卒業生が多いですね。これまでの勤務地でも多くの卒業生とお会いしてきましたが、前任地では救急科・武田和也先生(第29期)、小児科・運崎愛先生(第27期)と懇意に仕事をさせて頂きました。現施設においては高木康行先生(第2期)が特命副院長として在籍されています。当院はセフティーネット系医療(神経・筋難病、筋ジストロフィー、重症心身障害、結核)の専門病院ですが、一般診療機能を兼ね備えており一般・消化器疾患に対する外科治療を担当しています。手術適応は難病を抱えておられる方も多く、自身の技量と相談しながら少し背伸びを心掛けて提供するようにしています。手術以外は上・下部内視鏡検査や抗がん剤治療などに従事しています。
 65歳を定年とすると勤務医生活は折り返しを越えました。外科診療は臓器専門性と低侵襲化が進み今やロボット手術の時代です。これまでの修練を乗り越えてきた自身が「深さ」を求めてさらに専門性を追求するのか、経験に基づき「広さ」に活路を求めるのか、まだ決めかねております。答えを求め、もう少し地域の一線病院で勤務し走り続けようと思います。
 私事としましては2013年春、丹波篠山市に私邸を建て妻、長男(14歳)、次男(11歳)、三男(5歳)、長女(3 歳)の6人家族で暮らしています。サッカーボールを蹴ることはなくなりましたが、休日は家庭菜園と40歳を越え健康を意識し始めたランニングで英気を養っております。将来成長した息子たちと神戸マラソンや篠山ABC マラソンで一緒に完走する事が楽しみです。最後になりますが、同門の先生方のご活躍と母校の益々の発展を祈念して近況報告とさせて頂きます。   - 57

 

 

 

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