杉原 徹(第37期)

近 況 報 告

東京都立松沢病院   
杉原 徹(第37期)

 

 37期生の杉原です。私は、2018年3月に卒業し、東京都立松沢病院で初期研修を行い、現在も同院で後期研修中です。当院に勤務歴のある先生もいらっしゃることと思います。1879年に上野に東京府癲狂院としてスタートした140年の歴史をもつ公立精神病院で、1919年に現在の所在地(世田谷区上北沢)に移転し100年が経過しました。2012年に7階建ての新病棟が建設され病棟は集約化されましたが、7万坪もの広大な敷地はそのままです。
 教育学を専攻し教員養成系の大学教員だった私は、精神科医を目指して再受験しました。精神科への思いは医学部時代もかわらず、初期研修から精神科色の強い病院でと思い当院を選びました。当院は全898床中808床が精神科病床ですが、合併症医療も行っており初期研修病院となっております。初期研修医の当直業務の1つに夜間休日の緊急措置診察の陪席があります。自傷他害のリスクがあり、警察官通報などにより精神保健指定医1名の診察が行われます。入院が決まると警察官にご協力いただき患者の採血などを行います。このような特殊な経験を積みながら精神科の道を歩み始めました。後期研修1年目前半は慢性期病棟の1つに配属されました。患者、看護スタッフ、医師すべて男性という特殊病棟で、触法行為歴がある患者が多く、患者間暴力、スタッフへの暴力が問題となっていましたが、ここ数年は患者の外出を積極的に推進していました。その中でのコロナでした。感染防止のために外出禁止となり、患者のストレスは増大し、病棟運営に苦慮しました。後半はスーパー救急病棟の1つに配属されました。先に述べた夜間休日の緊急措置入院に対応する病棟で、患者の出入りが激しいのが特徴でした。急性期の薬物療法、mECT、外国人患者のケースワークなどを学びました。本稿執筆中の後期研修2年目の2021年11月現在はCOVID-19専用病棟に配属されております。第5波の際は1日に5~6人もの入院がありましたが、10月に配属された際は患者数激減していました。第6波はやってくるのでしょうか。戦々恐々としながら日々業務に取り組んでおります。ここ最近の当院、特にコロナ禍の精神医療の取り組みについて、メディア等で取り上げられる機会が増えております。齋藤正彦『都立松沢病院の挑戦』岩波書店、2020年。齋藤正彦等編『松沢病院発!精神科病院のCOVID-19感染症対策』新興医学出版社、2021年。ETV特集「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」2021年、などをぜひご覧ください。
 長々と近況を記してきましたが、今があるのは島根大学が私を医学生として受け入れてくださったことに始まります。37期生には私よりも高齢の方もおられました。女子学生の受け入れも含めて公平性という観点で全国トップの医学部であると誇りに感じております。37期生は入学時18~60歳と実に幅広い年齢集団でしたが、皆さんまじめかつ常識的で、居心地良く過ごすことができました。同じポリクリ班だった滋野くん、平元くん、橘高さん、呉城さん、前村さんには大変感謝しております。皆さん20歳近く年下でしたが、実に絶妙な塩梅でかまっていただき、とても楽しい臨床実習となりました。またどこかでお会いしたいと思っております。
 最後に当院の話に戻ります。私が入職した際に後期研修医に邊土名智代先生(34期生)がいらっしゃいました。折につけ母校の話で盛り上がってきましたが2021年4月からは和氣仁美先生(28期生)、三橋昌平先生(40期生)が加わりました。和氣先生は当院にとって大変貴重な外科医として、三橋先生は初期研修医として入職されました。4人は旧知の間柄ではありません。それぞれの選択でここ松沢に島大出身者が4人集いました。ご縁としかいいようがありません。長期化するコロナ禍により「松沢 島大の会」開催は延期となっており、1日も早く開催できることを願っています。また、新たな島大出身の先生が当院にいらっしゃることを心待ちにしております。

 

 

 

萌雲会 さくら会 思い出写真集