秦 龍彦(第34期)
近 況 報 告
福井大学医学部附属病院 救急部・総合診療部
秦 龍彦(34期)
34期の秦 龍彦です。萌雲会の皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。このような機会をいただいたこと、心よりお礼申し上げます。
卒後地元である大阪の市中病院で初期研修を行い、その後は縁もゆかりもない福井大学に所属しER型救急医(ER;Emergency roomの略。救急医が全ての救急患者を診療する北米型救急)として診療や教育、子育てに奮闘している日々です。コンビニ受診や高齢者救急に翻弄され、マイペースな研修医達の背中をせっつきながら、家に帰ればルンバと食洗器をフル稼働させながら何とか子供達を寝かしつけ、週末はミニバンで走り回る…という生活をしています。学生時代は硬式テニス部とバイトにどっぷり浸かり、授業や学年行事にはほとんど参加せずに自由奔放な生活をしていましたので、同期の皆さんは私が寄稿したことに驚いているかもしれません。振られた仕事は全て受けるという上司の教え(当の本人は上手に理由をつけて断ります)と、若いうちであれば内容に乏しくとも許容されるだろうという下心とで筆をとることにしました。気になるあの子や出世しそうな彼の近況報告は、また次回以降の楽しみにしていて下さい。
福井で救急、といえばご存知の方もおられるかと思いますが、救急外来に1冊は置いてあるあの赤い本を執筆されたボスの元、ER型救急のシステムが確立された環境で明るく愉しく診療にあたっています。ERは研修医で十分、専門性がなくて誰でもできる、などと揶揄されることもありますが、救急外来の門をくぐるどんな人に対しても「まずは診させてもらいます」と対応するのは想像以上に大変なことで、知らないことに出会っては知識をアップデートするという日々です。三交代性の救急シフトのほか、総合診療との合同運営として病棟管理や外来診療(人員増加に伴い私はクビになりましたが)、ICU業務、外勤などと多岐にわたる領域・環境で仕事ができるのも魅力です。大学所属者の宿命!?として大学院にも入学し、卒業目指して四苦八苦しています。意外と多い(!)救急科専攻の同期より1年遅れで専門医を取得したのは、昨年の筆記試験で涙を飲んだから…ではなく、学会の加入期間が1カ月足りなかったからです。専門医取得に重きを置いてなかった事もありますが、相変わらずこの辺はズボラです。せっかくなので忘れずに更新したいと思っています。
私にとって出雲は妻の地元でもあり、第二の故郷と呼ぶべき大切な場所で1年に1回は帰省しています。出雲の地で医療のお世話になっている親戚もいます。同期をはじめ多くの先生方のご尽力で島根の医療が支えられていることへの感謝の気持ちは、きっと島根県民の次に持っているだろうと自負しています。その恩は…福井県民に日々こっそりお返しすることにしています。卒業時には「島大卒は生涯ついて回る」なんて呪いのような言葉をかけられた(気がする)ものですが、大阪では関西で活躍されている諸先輩方と繋がることができ島大卒の“ご縁”の力を実感しました。島根の内外でお世話になった全ての先生方に、この場を借りてお礼申し上げます。
毎年忘れた頃にやってきて、先生方の異動や学内の近況を伺い知ることのできる本同窓会報、萌雲が郵送されてくるのを実はちょっぴり楽しみにしていました。にもかかわらず住所変更の連絡もせず、年会費は納めず、事務局の方にはご迷惑をおかけしています。本稿はホームページからも閲覧可能なようです。これまでの日常生活や価値観が大きく変化する中、皆様との“ご縁”を実感できる本誌もひょっとしたら形を変えながら??でも、今後も継続していただければと一読者として願っている次第です。
末筆ながら、母校の益々のご発展と、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。