藤井 俊吾(第33期)

近 況 報 告

島根県医療政策課 在宅医療推進スタッフ 
医療専門員            
藤井 俊吾 (第33 期)    

 

 萌雲会の皆様には、平素より大変お世話になっております。このたびは、同窓会誌へ寄稿する機会をいただき、誠にありがとうございます。
 さて、33期の皆さん、ご無沙汰しています。覚えていますか、「じーこ」です。なんとワタクシ、現在は一行政マンとして島根県庁で勤務しています。これまでの経緯も含め、近況をご報告します。
 2008(平成20)年度に島根大学へ入学し、一部同期の溜まり場としてご活用いただいたモリヤママンションで6年間を過ごしました。卒業後は島根大学医学部附属病院の研修プログラムに採用され、同病院や出身地にある大田市立病院等で初期研修を行いました。2016(平成28)年度に島根大学医学部附属病院腎臓内科に入局し、腎炎や慢性腎臓病(CKD)の診断・治療、透析医療等に携わりました。この間、内科学第四の田邊一明教授、腎臓内科の伊藤孝史診療科長をはじめ、諸先生方には丁寧なご指導をいただき、大変お世話になりました。
 短い臨床経験ではありましたが、様々な患者さんと接することができました。なかには、「こんなに腎機能悪くなるまで、どうして医療機関を受診しなかったのだろう」と思う患者さんもおられました。もっと早く気付いていれば、きちんと内服管理ができていればと感じざるを得ませんでした。
 初期研修医のとき、ある指導医から「問題の上流をみなさい」という言葉を掛けられたことがとても印象深く残っています。目の前の問題に対処したとしても、その原因となるものを解消しなければ、また同じ状況が繰り返されるということですが、臨床医として勤務するなかで問題の上流を見ることの大切さと難しさを痛感しました。このような経験を経て、公衆衛生、予防医学という視点から患者(住民)さんへアプローチすることも重要かもしれないと思うようになりました。
 医局の先生方にご理解をいただき、2019(令和元)年度に島根県へ入職し、出雲保健所へ配属されました。「三十にして立つ」と言いますが、私の場合は30歳にして行政職員へ転職となりました。当時の主な担当業務はHIV検査や結核対策でした。特に結核については、もはや昔の病気と思っていましたが、島根県内で年間約70件の発生があります。全国的に高齢者や外国人など、一般的に弱い立場と言われる方々での発病が多いと言われており、島根県でも同様の傾向です。保健所では、結核患者さんが治療を完遂できるよう支援していますが、健康意識や経済状況を踏まえたアプローチが必要であり、自然と問題の上流を見ていると感じています。
 保健所2年目となった2020(令和2)年度は、新型コロナウイルス感染症が発生し、相談電話対応や濃厚接触者の検体採取などに携わりました。また、医療従事者等へのワクチン接種については主担当者として、出雲保健所管内の医療機関や各関係団体の方々と連携しながら、接種スケジュールなどの調整を行いました。ワクチン供給が当初の想定よりも遅れていたり、供給量が限られていたりと頭を悩ませながらの調整でしたが、関係者の皆様のご協力を得て、一定の方向性をつけることができました。
 2021(令和3)年度は島根県庁医療政策課へ異動となり、本格的なワクチン接種開始を担当者として見届けることはできませんでしたが、現在は、医療法に基づく医療計画の策定(中間見直し)や在宅医療提供体制の整備などに取り組んでいます。議会対応や予算要求など、臨床医として働いている時には決して関わることがなかった業務に困惑しつつも、諸問題の上流をきれいに保てるよう努めている今日この頃です。(とりとめのない文章になってしまいました。)
 なかなか同期で集まる機会を持ちにくい状況ですが、また皆さんと直接近況を語り合える日を心待 ちにしています。最後になりますが、萌雲会の皆様のますますのご活躍とご健康をお祈り申し上げます。