名和 由一郎(第11期)

「あっという間の卒後29年」

愛媛県立中央病院      
血液内科 臨床研修センター長
名和 由一郎(第11期)

 

名和 由一郎(第11期)

 島根医科大学/島根大学医学部医学科の同窓の皆さまにおかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます。ご無沙汰をしております11期の名和由一郎です。
 私は、平成4年に大学卒業後、ジェネラルな内科医になる事を目指して、岡山大学の医局に入局しました。市中病院で研修中に、血液が専門の教授に代わり、大学に帰局後、免疫の力で白血病と戦う同種造血幹細胞移植に魅力を感じて研究を開始し、当時岡山大学におられた現日本造血・免疫細胞療法学会理事長の豊嶋崇徳先生にも指導を受けました。ようやく研究が面白くなったころに異動を命じられ、岡山から遠い四国の果ての松山への異動は不本意でしたが、コンパクトな街と温暖な気候が気に入り、現在まで居座ることになりました。仕事においては、造血幹細胞移植を中心に血液診療をしてきました。血液内科医は絶滅危惧種で、新臨床研修制度の開始以降、スタッフ不足となり、大変な時期もありましたが、血液を専門としたいという研修医や、当院で働きたいというスタッフが現れてくれて、何とか診療を続けることができました。血液内科は、最先端の薬物療法、細胞免疫療法をおこなえる事、また、患者さんと長い期間、向き合える診療ができることが魅力と感じています。現在は、厚労省から造血幹細胞移植医療体制整備事業の推進拠点病院として、四国全体の移植医療のレベルアップをさせる仕事もおこなっています。また、院内の仕事として、令和3年度から臨床研修センター長を拝命し、初期研修医の獲得、育成の仕事もしております。地方の病院での研修医獲得は苦戦しており、四国出身の学生さんで、四国へ帰りたい人がおられたら、ぜひ研修先候補としてお考え下さい。また、医療の質管理の部門(改善推進室長、クオリティマネジメント室長補佐)にも関わっています。愛媛県の私の周辺には意外にも同窓生(おおぞら病院の宮本安尚先生(9期)、市立宇和島病院血液内科の鹿田久治先生(18期)、当院の循環器内科小﨑哲也先生(32期)、消化器外科溜尾美咲 先生(33期))がおられて、頼もしく思っています。学生時代に仲が良かった同級生数人とは今でも交流があり、コロナ下に突入した際には、オンライン飲み会をおこない、学生時代のように夜中まで語り合いました。振り返ると、学生時代は部活のバレーボールに打ち込み、冬になればスキー、夏になれば海辺でBBQ、車で北海道や九州の一周旅行とそれになりに楽しんでいましたが、一方では、今のようにネット環境もなく、都会のような刺激もない中、悶々としていた学生時代だった様にも思います。ただ、その時にエネルギーをため込んでいたからこそ今があると思っています。日本初の生体肝移植を行った時の雰囲気をリアルタイムで感じたので、今、移植医療に携わっているのかもしれません。人生の進路で迷ったときには必ず原点の出雲を訪れるようにしています。最後になりましたが、最近、VHSをブルーレイに落とす作業をおこなっていて、卒業時に後輩からもらったVHSを29年ぶりに視聴しました。その中には、記憶から無くなっていた追い出しコンパ、卒業式、国試の見送りなどの映像があり、懐かしさがこみ上げました。お世話になった部活の先輩方、後輩の皆さん、忙しくてご挨拶できていませんが、皆さん元気でしょうか。同級生の皆さんも変わりないですか。また、どこかでお会いできることを楽しみにしています。