田中 志乃(旧姓 坂井)(第9期)
近 況 報 告
胃腸科内科田中医院
田中 志乃(旧姓 坂井)(第9期)

いつも萌雲が届くと、弓道部や9期生、消化器内科の先生方を懐かしく思い出しながら楽しく読ませていただいていました。この度原稿依頼がありましたので、私も近況を報告させていただきます。
平成2年島根医科大学を卒業し、第二内科(消化器内科)に入局しました。その後、広島県三原市の興生総合病院、島根医科大学附属病院に勤務、結婚、出産を経て、息子が1歳になってから益田医師会病院に復職しました。しかし、息子の病気で急に休むことが多く、同僚の先生方にご迷惑をかけながらの勤務でした。それで、主人が安来に転勤になったのを機に安来医師会病院にパートで勤務することにしました。
息子が保育所の年長になった頃から病気をしなくなったので、平成16年から12年間、島根県環境保健公社で常勤として人間ドック、巡回健診に従事しました。経鼻内視鏡が始まりその検査数が増えていった時期で、内視鏡検査がどうしても好きになれなかった私にはストレスのかかる日々でした。ただ、多数のデータを解析し何らかの傾向を導き出すことには興味がありました。平成25年に萎縮性胃炎に対するピロリ菌除菌が保険適応になり感染率が低下していく中で胃がん検診の変化を検討することは楽しく、健診業務は性に合っているような気がしていました。休日の急な呼び出しがないため、息子のスポ少、部活の当番、PTA活動などにも参加できる有難い職場でした。子育てをされる先生には健診業務がお勧めです。
主人は宍道町(出雲市と松江市の中間にある高齢者の多い町です。)の開業医の3代目で平成28年に院長を継承し、29年春医院を新築移転しました。私は島根県環境保健公社を退職し、主人と開業医として働くことにし、息子は大学生となり家を離れました。外来診察は久しぶりで薬の名前もわからず、介護保険の仕組みもわからず、経理、労務管理も不慣れで、職員の確保にも苦労し、「もう仕事辞めたい!」と思うことも度々です。夜間、休日の診察依頼、在宅、高齢者施設での看取り(主に主人が担当し、私はヒョコヒョコついて行くだけですが)などあり、日中の患者さんは少なくても疲れる気がします。ただ、ママ友と温泉旅行に行ったり、高校の同窓会で大阪まで出かけたり、以前職場で一緒だった方と女子会をしたり、子育てが終わって楽しい時間が増えた!と感じていました。
ところがまさかのコロナ禍で、家と医院(徒歩2分です。)の間を行ったり来たりするだけの日々となりました。令和3年春から新型コロナワクチン接種が始まりましたが、宍道町には集団接種会場がないため高齢者の方が医院の予約に殺到。夏頃までは対応に追われました。この1年9ヶ月、閉塞感の強い日々で誰もが大きなストレスを抱えておられるようです。私も主人といる時間ばかり増え、話し合いから喧嘩となることが多くなりました。今後も宍道の開業医として患者さんに寄り添える仕事を続けていけたらと思っているので、主人とは仲良くやっていかねばと反省しつつ日々過ごしています。
この原稿を書いてみて、子育て中の勤務、経鼻内視鏡のご指導、開業後のご助言などたくさんの先生方に支えられて今日まで過ごせたことを思い出し、改めて感謝しています。
第5波が終息しつつある時期に原稿を書いています。このまま新型コロナウイルスが完全に終息し、元の日常を取り戻せることを祈っています。