内藤 浩平(第5期)

近 況 報 告

西の京病院 整形外科 部長 
内藤 浩平(第5期)

 

ツール・ド・のと400,愛車で頑張りました

 奈良の地での生活が15年目となりました。
 島根医科大学整形外科に入局して36 年、昨年は還暦を迎え、現在も整形外科医として外来、手術が続けられていることを幸せに感じています。
 卒業後すぐに大学院に所属して、廣谷教授の下で臨床と研究の日々を過ごしました。大学院生から附属病院助手となった後、東大阪市の若草第一病院へ医局人事で異動となり、主に四肢外傷治療を担当してきました。教授が越智先生となり、医局人事で大田市立病院へ赴任して整形外科の立ち上げを高尾先生(現 CARIFAS 足の外科センター所長)、大饗先生(現 広島大学四肢外傷再建学教授)と共に行いました。新病院となった整形外科ではたくさんの整形外科研修医と共に学ぶことができ、香港中文大学付属病院整形外科やドイツのチュービンゲン外傷センターで研修医が短期研修を受けられる機会を作れたことは良き思い出になりました。さらに、大田市立病院で研修を受けられた先生方が、その後研鑽を積んで大学の教授に複数名就任され活躍されていることを誇りに感じています。大田での7 年間の単身赴任にそろそろと区切りをつけて、家族の住む奈良へ移動、現在の病院でリハビリテーション科を立ち上げ、同時に整形外科医として人工関節手術や外傷全般に取り組みました。人工股関節手術はいち早く手術ナビゲーションを導入してMIS-THA を開始、人工膝関節手術もMIS-TKA を行い、手術をモニターを通して家族へ見てもらえる体制を取りました。

サンフランシスコの学会に参加した際

 また、病院に来院される患者さんへ最新の医療で対応するために、病院の各職種のスタッフで3 つのチームを立ち上げました。リハビリテーションでは、「チームバランス」が変形性股関節症や変形性膝関節症の歩行状態を手術前後で3 次元動作解析することで、定量的に歩行が改善しているかどうかを評価できるようにしました。この成果は日本リハビリテーション医学会や日本人工関節学会で発表の機会を得ることができています。 「リウマチ部会」では、リウマチ財団登録看護師、薬剤師を中心に、通院している全てのリウマチ患者さん(210 名ほど)の血液検査、DAS、HAQ による評価を電子カルテ内へ反映するシステム作りを行い、経時的に評価できるようにしました。「骨粗鬆症チーム(OLS)」は、高齢者の脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折など脆弱性骨折患者さんの2 次骨折予防を目的に、日本骨粗鬆症学会の骨粗鬆症マネージャーを中心にして骨密度と骨代謝マーカーをチェック、電子カルテ内に共有シートを作製して各部署の項目を一元管理できるシステムを構築しました。治療薬の選択も骨折疾患ごとに基準を設け、さらに、内科的な合併疾患も考慮して治療率向上をはかり、再骨折予防に取り組んでいます。それぞれのチームは学会発表を通してさらなる向上を目指しています。
 このような状況となった奈良での勤務医生活は多忙を極める日々が続き、「体力をつけないと」と感じて、身 体を鍛えるためロードバイクでの通勤を始めました。また、自転車仲間でのツーリングを楽しめるように、まず100km 走れる身体作りにチャレンジ、目標をツール・ド・のと400 完走において、休日には奈良から高野山、熊野、白浜、伊勢など150 - 200km のロングライドで体力を鍛えることができています。ちなみにツール・ド・のと400 は10回ほど完走できました。
 外来での診療では、学生時代に日野原先生から「全人的医療を考える」ことを学び、これを実践するように心がけています。最近の2 年間は、コロナのため学会や研修会がWEB となり、最新の医療事情を十分にキャッチアップできていないもどかしさを感じていますが、病院内で研修の場を続けられるように心がけて日々奮闘しています。  この歳になるまで病気にもならず医師が続けられていることに感謝して、雑感を綴りました。病院から薬師寺や若草山が一望できます。奈良で仕事をしてみたい先生は病院(当方)までご一報いただけたらと思います。皆様のご健勝を祈願して筆を置きます。


写真上:ツール・ド・のと400、愛車で頑張り完走しました。
写真下:サンフランシスコの学会に参加した際の一コマ 右から高尾先生、大饗先生、左が筆者