笠間 正文(第5期)

勤務医から開業医へ

佐江戸内科循環器科 院長
笠間 正文(第5期)

 

 5期生、同窓生の皆様、1986年卒の笠間です。学生時代は、少林寺拳法部でお世話になりました。現在、神奈川県横浜市都筑区佐江戸町で、待合室に10名しか座れない小さな診療所をやっています。
 いつも同窓会報「萌雲」で同窓生のご活躍を拝見しています。
 同窓会報には前回1998年に米国留学の話を投稿させていただき、今回2回目となりますが、改めて卒後の経過を投稿します。
 私は卒業後、地元に帰り、横浜市青葉区の昭和大学藤が丘病院での内科研修(内科7科と小児科、救命センター)ののち、循環器内科に入局し、ずっと大学病院で勤務していました。心臓超音波検査(経食道超音波検査)、心筋電気生理学的実験、心電図コンピュータシミュレーションなどに携わりました。1996年、米国ユタ大学に1年間研究留学し、帰国後、CCUチーフ、医局長などを経験しました。入局以来、教授は4名代替わりし、私は講師になりましたが、研究面での進展が見込めなくなったので、大学病院を辞めることにしました。
 2004年に、神経内科の先輩のいる、神奈川県厚木市の七沢リハビリテーション病院脳血管センターの循環器内科に就職しました。横浜市から厚木市の大山の麓まで、東名高速道路を通って車で通勤しました。生活習慣病の教育入院を担当し、脳卒中の予防対策の講演を行いました。
 内科を選んでから、なるべく内科一般を診るように心がけていて、いつかは開業したいと思っていました。現住所の近辺で探していたところ、横浜市都筑区で、元接骨院の物件が見つかり、2008年に佐江戸内科循環器科を開業しました。初日は患者さん1名でした。カルテは、開業当初からユヤマの電子カルテを採用し、心電図と超音波検査は、当初は紙に印刷していましたが、その後、デジタル化し、レントゲン撮影もアナログからCR、現在はDRにデジタル化しました。超音波検査では、心臓だけでなく、頚動脈、甲状腺、腹部、下肢なども診ています。また、ホルター心電図(防水型)は院内で解析しています。横浜市は都会ですが、当院から最寄り駅までは徒歩20分かかり、当院の前のバス路線は、日中は1時間に1便くらいで、車がないと不便です。医院の周辺は古い住宅地で、現在も半径500m以内には、医院や調剤薬局はありません。一番近い調剤薬局までは徒歩15分です。やむなく区内では珍しい院内処方になりました。都筑区は横浜市でも平均年令が若いのですが、佐江戸町は高齢者が多く、最近の平日の当院外来患者さんの平均年令は70才以上です。慢性疾患が多く、発熱の患者さんはあまり来ません。これまでにコロナを発症したと聞いた通院患者さんは2名のみです。院内処方は高齢者には優しいシステムですが、小林化工や日医工の問題のあと、半年以上たった現在でも他社の後発品にも影響が長引いて薬の納入が滞っており、困っています。院内処方の後発品は85%以上で、毎日昼と夜に在庫を確認して、卸6社に発注しています。また、給与計算と振込、薬の価格交渉、床のワックスがけ、毎日のレセプトチェックと帳簿つけ、毎月の損益計算、毎年の確定申告、青色申告などを一人でやっています。
 卒後30年経過し、5期生の同窓会の話があり、私も幹事の一人として連絡係を担当させていただきました。2016年8月に5期生の同窓会が出雲市で開催されましたが、当日は都合がつかず、参加できなかったのが、とても残念でした。2019年に、卒後30年ぶりくらいに、出雲市に行きました。すっかり町並みが変わっていてびっくりしましたが、学生時代に住んでいたアパートはまだ当時のまま建っていて、その前で写真を撮りました。
 周りのいろいろな方のおかげで、当院は、なんとかこれまでやってこれました。いつまで続けられるか、わかりませんが、微力ながら、地域医療のためにもう少し頑張りたいと思います。

笠間 正文(第5期)